第4章 循環型社会づくりのために
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1 廃棄物の減量に向けて 〜もったいない意識の大切さ

 現在の簡単で便利さを求める社会は、使い捨ての習慣を生み、大量 消費、大量廃棄につながっています。これらのシステムは大量の資源を消費し、廃棄に至るまで大きなエネルギーを使っています。温暖化につながるこのシステムを見直すためには、私たちの暮らしの中で“もったいなさ”の意識をもっと持つ必要があります。
 そして、私たち消費者が自ら賢い消費行動をして大量消費、大量 廃棄の社会システムを変えていくことが大切です(これらの消費行動をする人のことをグリーンコンシューマーといいます)。

1)リフューズ(お断り)

 私たちの消費行動で店舗やメーカー側に最も効果 的に働きかけるのがリフューズです。レジ袋や製品の包装は、ほとんどが家に持って帰ればごみになります。買い物袋の利用や直接持って帰るなど、レジ袋や包装を断る習慣がごみ減量 化につながります。

2)リデュース(減量)

 できるだけ地域内の、品質の高いロングライフ(長寿命)製品の購入に努めることや、破れたり、壊れたりしたからといって直ぐに捨てるのではなく、繕ったり修理等をしながら長く使う習慣が大切です。

足踏みミシン
昔はどの家にもあった足踏みミシン。かたかたと繕いものをするお母さんの姿を覚えている方も多いでしょう。

3)リユース(再利用)

ドイツでは住民700人に1カ所ゴミステーションがあって、5種類のゴミ箱が設置されている

リユース(物の再使用)は、リサイクル(資源の再生)よりもエネルギー抑制面 で優位です。スイス・ドイツ等の国では、不要な家具や電気製品を無料で引き取り、それを他の必要な人が、安く買うことができる「ブロッケンハウス」というシステムがあります。また、ドイツでは、街角にメーカーが回収ボックスを設け、ガラス瓶のみならず、ペットボトルも洗浄して何回もリユース(再使用)しています。我が国においてはビール瓶、一升瓶、牛乳瓶等がリターナブル瓶として出回っており、購入する場合は、これらのものや詰め替えできる製品等を選択することが大切です

●1回でほぼその用途が終わる製品の例
ペットボトル 我が国では年間1400億本以上(500ml換算)生産されており、リサイクルに要するエネルギーも大きいものがあります。
レジ袋 我が国のレジ袋の生産数は年間300億袋以上、家に持ち帰ればゴミになるのがほとんどです。
牛乳パック 給食の牛乳紙パックの量は、宮崎県内の小中学校で1日約1000uになります。
割り箸 国内の割り箸消費量は、年間250億本でほとんどが海外の大量 伐採による輸入材です。使う場合は国内産の割り箸を選択しましょう。 割り箸からみた環境問題URL: http://www.sanshiro.ne.jp/activity/99/k01/6_18prs2.htm

4)リサイクル(再生利用・熱回収)

 リサイクルは、分別収集やリサイクル工程で多大の労力とエネルギーを必要とすることがあり、環境への負荷を少なくするためには、リデュースやリユースの取組を優先することが望まれます。

●リサイクルの省エネ率
品目 省エネ割合(%) 1kg当りの省エネ 資料
スチール缶 65 2940kcal 3.42kwh 空缶処理対策協議会
アルミ缶 95 24670kcal 28.68kwh アルミ缶リサイクル協会
ガラス瓶 25 3610kcal 4.20kwh ガラス瓶リサイクル促進協議会
紙類 70〜80 1700cal 1.98kwh 古紙再生促進センター

リサイクルの説明URL http://www.8tokenshi.jp/park/recycle/fr_re_main.html

2 有機性廃棄物の有効利用

 廃棄物には金属くずなどの無機性廃棄物と生ごみや木くずなどの有機性廃棄物があります。有機性廃棄物は捨てればただのごみで、その収集から処理まで多くのエネルギーを要します。温暖化防止のためにも有機性廃棄物を廃棄せずに資源として有効利用することが大切です。
 有機性廃棄物の資源利用としては、バイオマス(植物などの生物体)利用と、堆肥にするコンポスト化等があります。

(1)バイオマスの利用

 木材の廃材などを燃料として利用する木質バイオマス発電、家畜のふん尿を発酵させてメタンガ スを取り出し、そ のガスを 燃焼させて発電するバイオマス発電があります。バイオマス発電は、地球規模でみてCO2バランスを壊さない(カーボンニュートラル)永続性のあるエネルギーです。県内には木質バイオマス発電施設としては、南郷町にあるウッドエナジー協同組合の1,300kwがあり、バイオマス発電施設としは、牛・羊・食残を利用した都城市にある高千穂牧場の30kw、鶏ふんを利用したものとしては高城町にある南国興産の1,960kwと川南町のみやざきバイオマスリサイクルの11,000kw等があります。宮崎は全国有数の林業・畜産県でありバイオマス資源がたくさん眠っているので今後の有効利用が期待できます。また、延岡市の廃棄物処理業者では、家屋解体で発生する建築廃材や畳などの産業廃棄物を原料として、固形燃料を製造する技術を開発し、製造した固形燃料は、発電所の燃料として供給しています。(バイオマスの詳説ファイル http://eco.pref. miyazaki.lg.jp/gakusyu/chikyu/9.index.html)

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(2)コンポスト化

 家庭の生ゴミや木くずや落葉などの有機性廃棄物を堆積し、好気性微生物の働きで発酵させる方法で作ったものを「堆肥」とか「コンポスト」といいます。

1)家庭の生ゴミの堆肥化

 生ゴミから堆肥を作る一般 的な方法が、右図に示すプラスチック容器を地中に少し埋める方法です。容器に入れる生ゴミはできるだけ水分を切り、枯葉や土をサンドイッチ状に入れることで、土が悪臭を吸収し、衛生害虫の侵入を防ぐことができます。
 また国富町では、家庭の生ごみを収集し、高速堆肥化処理施設で家畜ふん尿と合わせて肥料を製造しています。

生ゴミの収集(国富町)

2)ミミズコンポスト

 畑や敷地にブロック塀や板塀で囲み、生ゴミや木の葉を投げ込みます。そこにミミズを放し、ミミズがそのごみを食べ、ふん尿としますが非常に良質な堆肥となります。

3)木の葉、植物 その他、校庭や街路樹等の木の葉を集めて堆積し堆肥化しているところもあります。

3 クリーンエネルギーの利用

 石油、石炭等の化石燃料を燃やさず、温室効果 ガスの排出がないかまたは極端に少ないクリーンエネルギーの利用の重要性が高まっています。

(1)太陽光発電

 太陽光発電は、太陽の光が当たると分子の流れが発生して電気が生じる太陽電池で発電します。地球温暖化の原因となる二酸化炭素や有害な排気ガスを出さず、太陽がある限り発電をし続ける、全くクリーンな発電装置です。家の屋根に3〜4kwの太陽電池を設置すれば、4人家族の標準家庭の使用する電気は、ほとんどまかなうことができます。県内には平成15年度末で4,345軒(県内世帯数の約1%)で太陽光発電装置が設置されています(太陽光発電協会URL http://www.jpea.gr.jp/)。

(2)太陽熱利用

 屋根の上に太陽熱温水器を設置すれば、天気の良い日には太陽の熱で約60℃の温水を燃料を燃やすことなく作り、お風呂や給湯に利用できます。冬の追い炊きが必要なときでも、冷たい水から温水をつくるより燃料が少なくてすみます。県内には平成12年度末で19.6万台(県内世帯数の約50%)の太陽熱温水器が設置され、県内で一番普及が進んでいるクリーンエネルギーです。

(3)風力発電

 風力発電は、「風」の力で風車をまわし、その回転運動を変換して電気を取り出す発電システムです。風は自然界に無尽蔵に存在することと、発電時に二酸化炭素や廃棄物を出さないクリーンエネルギーであることから、期待の大きな発電システムです。県内の大規模風力発電機は、串間市の250kwの1基と北方町ETOランド750kwの1基が設置されています。

(4)燃料電池

 中学の化学の実験で、水を電気で分解して水素と酸素を取り出す実験があります。この反応を逆にして水素と酸素を化学反応させると、電気と熱が発生するのが燃料電池です。天然ガスやメタノールから取り出した水素と空気(酸素)を送り続ければ発電することができます。この装置をつんだ車を走らせると、排気ガスではなく、水しか出ない夢のような車ができます。今年には家庭用の燃料電池も市販される予定で、今後注目される発電システムです。

4 木製品の利用

(1)木材に蓄えられた炭素の変移

 成長する森林は、二酸化炭素を吸収し、その体内に炭素をためていきます。成長した木々を伐採し、住宅の材料として使用すると、木材に蓄えられた炭素は、そのまま住宅の中にストックされます。住宅は数十年後には解体されますが、一部は、パーティクルボードなどの木質材料として、家具や住宅部材として再利用されます。

(2)繰り返される森林の再生=繰り返される炭素ストック

 石油や石炭などの化石燃料は、地下から掘りだして使い切ってしまう再生することができない資源です。
  しかし、森林は、再植林により、再び同じ炭素貯蔵量のストーリーを描き、再生可能な資源です。

 


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