第3章 宮崎県の環境を巡る動向

(6)温暖化の影響〜動物の分布の北への移動

 かつて宮崎には生息していなかった動物が、生息するようになった例が見られます。例えば、種子島・屋久島以南に分布していた南方系の蝶、タテハモドキハは、1965年代くらいまでは宮崎では珍しい蝶でした。しかし、その後土着し、普通 に見られる種となりました。この蝶は寒冷地では見ることができません。同様に九州本土への南方系の蝶の土着は、ナガサキアゲハやクロコノマチョウでも見られます。地球温暖化との関係が懸念されます。(クマゼミ、蚊の記述については温暖化の項を参照)

(7)これらの問題を少しでも防ぐには

 これらの動物への影響を少しでも防いでいくためには、まずどんな生き物も地球のなかまとして大切に思うことが必要です。具体的には、次のような活動が考えられます。

○珍しいから、欲しいからといって絶滅が危惧される生き物を飼わないことや絶滅が心配される動物から作られた製品を買わないこと(生物多様性条約やワシントン条約はそのような趣旨から策定された条約です)
○一旦飼育をはじめたペットは最後まで責任を持って飼うこと、ペットを捨てないこと
○野生の動物には、勝手に餌を与えないこと
○市民の力で動物が生きられる環境を守ること(生態系の保全活動の推進)
・里山を守る活動や、雑木林をつくるための活動、例えば、「どんぐり千年の森をつくる会」等の植林活動
・農薬等を使わない農業、例えば、アイガモ農法など
・ビオトープを作り動物の住める環境を増やす活動
○様々な野生動物の保護活動
・アカウミガメの保護活動、野生生物への保護援助(幸島のさる、都井岬の野生馬)
・日本野鳥の会、宮崎野生動物研究会、宮崎昆虫同好会等の活動
○野生動物の暮らしを知る活動
・宮崎県総合博物館、大淀川学習館、出の山淡水魚水族館、高千穂町淡水魚水族館、すみえファミリー水族館等
・干潟学習(県総合博物館や科学技術の杜事業での野外観察会)
・動物の観察会
○地球環境を守る活動
・ごみ減量の取組、4Rの推進、リフューズ、マイバッグの推進等
・無駄なエネルギーを使わない工夫等

(リサイクルの方法の説明URL http://www. 8tokenshi.jp/park/recycle.fr_re_main.html) (宮崎市のごみの出し方の説明サイト 宮崎市HP〜暮らしと環境〜ごみURL http:// www.city.miyazaki.miyazaki.jp/gyousei/html/ administrati...20031225111251.html)

廃棄物

 廃棄物は家庭等から出される一般 廃棄物と、事業所、工場等から出される産業廃棄物の2つの種類に分けられます。家庭等から出されるゴミは、市町村が税金によって(一部ゴミ袋等の有料化を実施している市町村もあります。)収集し、処理を行い、産業廃棄物は、それぞれの事業所等が自己の負担により処理しなければいけません。

(1)一般廃棄物の排出量と処理

 宮崎県における一般廃棄物の平成14年度の排出量 は、総人口1,187,582人(平成14年10月1日現在住民基本台帳)に対し455,817tです。一人当たりにすると年間383.8kgとなり、一人当たり1日に1,052gを出しています。
  本県の平 成14年度の 一般廃棄物 の処理の内 訳は、焼却 等402,052t(88%)、 直接埋立 46,101t(10%)、団体回収による資源化7,664t(2%)となっています。

(2)ごみ処理にかかる費用について

 宮崎県における平成14年度のごみ処理に要する費用は、施設の建設改良、処理及び維持管理等の費用を総計すると17,926,714千円で、一人当たり15,100円かかっていることになります。

(3)ごみのリサイクルについて

 一般廃棄物は、資源ごみとして出される紙類、瓶類、金属類、ペットボトル等のプラスティック製品等がリサイクルとして再資源化されます。

(4)産業廃棄物の排出量現状

 本県の平成14年度の産業廃棄物の排出量は、約 5,880千tとなっています。業種別では、農業が69%、電気・水道業12%、製造業、建設業が9%の割合で、種類別 にみると、家畜排せつ物が4,019千t(68%)で最も多く、以下、汚泥(下水道の汚泥等)が977千t(17%)、がれき類が435千t(7%)の順となっています。

(5)産業廃棄物の処理に係る許可状況

リング状のゴミが口にはまってしまったハワイアンモンクシール
写真提供 JEAN/クリーンアップ全国事務局

 

 産業廃棄物は、取扱いに注意が必要なものや、問題を引き起こすものなどがあり、その処理に当たっては、適正に行う必要があるため、処理施設業の許可制度を設けています。廃棄物処理法の規定に基づき許可を受けた産業廃棄物処理業者は平成16年3月末現在で、延べ1,867業者となっており、許可を受けた産業廃棄物処理施設は、350施設あります。

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(6)ごみの散乱、不法投棄の問題

 私たちの回りには物があふれており、ついつい安易に捨ててしまうケースが多く、道路や公園、河川等の場所には散乱したごみが、目につきます。これらのごみは、弁当殻等の食品容器やペットボトル等の飲料容器、菓子等の包装紙等様々なものがあります。また、ビニールやプラスチック、発泡スチロールでできているものが多く、分解されずそのまま残り、なかには雨や風に流され海洋漂流ごみになるものも多くあります (関連URL:http://www.jean.jp)。  海外の途上国では処分場が整備されていないためにゴミの散乱は一層大きな問題となっています。
 
また、県内では個人や事業所による不法投棄も問題となっており、テレビ等の家庭内の不要な電気製品や粗大ごみ、自動車等が人目につかない河川敷や海岸、林道敷等に捨てられたりしています。
 全国的には、廃棄物の処理を請け負った業者による大規模な不法投棄事件が大きな社会問題になっており、今後も同様の事件の発生が懸念されるところです。(香川県豊島事件http://www.teshima.ne.jp/、青森・岩手県境不法投棄事件、岐阜市椿洞廃棄物不法投棄事件等)。

(7)最終処分場の問題について

 リサイクルや焼却できない廃棄物及び焼却灰等は最終処分として埋め立てられます。これらは、市町村等が運営する管理型処分場に埋め立てられていますが、残余容量 が少なくなっている所では新たな処分場の確保が必要になっています。

(8)問題の解決に向けて

 豊かで便利な現在の暮らしは、裏を返せば常に大量 の廃棄物を排出しています。そこでライフスタイルを見直して、一層の廃棄物の減量 に努める必要があり、宮崎県では、4Rの推進を進めています。これは、1.リフューズ(Refuse=断り)、2.リデュース(Reduce=減量 )、3.リユース(Reuse=再利用)、4.リサイクル(Recycle=再生利用、熱回収)の取組をいいます。
  このほか、廃棄物の減量を図るため、流通段階における梱包材等の再使用システムの導入等の事業活動段階の見直しや、ごみ処理有料化等の経済的手法の導入を図っています。
  なお、ダイオキシン対策等のごみの適正処理及び市町村の財政負担の軽減等を図るため、市町村の連携による広域的なごみ処理施設の整備を促進しています。(4Rの説明URL http://www.kokumin-kaigi. org/pdf/21-30.pdf)

(9)資源のリサイクルの取組について

 天然資源の消費が抑制され環境への負荷ができる限り低減される循環型社会の形成を図るために様々な法律制度が施行されています。平成12年6月には「循環型社会形成推進基本法」の制定を初めとして、資源有効利用促進法、建設リサイクル法及び食品リサイクル法が制定されました。
  さらに、平成14年7月には自動車リサイクル法が制定され、既存の容器包装リサイクル法、家電リサイクル法などと併せて、循環型社会の形成に向けた取組を推進する法的基盤が整備されています。

8 エネルギーの動向

(1)電 力

 県内には、豊富な降水量に支えられた水力発電所47か所と火力発電所5か所および3か所の内燃力発電があります。電力の県内自給率は昭和55年度までは100%を超えていましたが、昭和56年度以降は一貫して消費電力が発生電力量 を上回り、県外から電力が輸入されています。
  消費電力は年々増加の一途をたどり、県内の47か所の水力発電所だけで供給できる電力は、平成15年度では35%しかありません。一日でたとえると約8時間分しか宮崎の資源からできる電力はありません。

(2)都市ガス・LPガス・石油製品

 ガスと石油製品(灯油等)は、化石燃料(天然ガス・原油)から作られるため、ほとんどを海外からの輸入に依存し、快適な生活を送るためにたくさんの化石燃料が使用されています。都市ガスは、件数と消費量 は年々増加し、消費量の約半分が家庭用で消費されています。LPガスは、年ごとに変動はありますが最近は横ばい傾向です。石油製品は、平成10年から横ばい傾向でしたが、平成14年値は減少しています。

(3)その他

 自動車の保有台数は年々増えて、一世帯あたりの保有台数は約2台となり、推定で年間の燃料消費量 はガソリン換算で105.9万klと考えられ、CO2換算では、240万t以上排出していることになります。そしてこのCO2量 を吸収するためには杉の木1億5千万本以上が必要となります。
  地球温暖化を防ぐためには、できるだけ車の利用を少なくする必要があります。 【ガソリン消費量の積算】 ※仮に1台の車の平均走行距離を1000km燃費を10km/lのガソリン車とした場合  1000km÷10km/l×12月×882,324台=105.9万kl

 


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