第5章 環境を守るための取組

1 環境を慈しみ守る環の広がり

 環境は、人間の生産活動の発展によって様々なダメージを受けています。ですから私たちには今一層、環境を慈しみ、守り、育てることが求められており、これらの輪を広げていくことが大切です。

(1)県内の活動している団体

 県内には、植林、自然保護活動、地球温暖化防止の普及啓発等の環境の大切さを訴え守っていく活動をしている様々なグループがあります。これらのほとんどのグループは、多くの方の参加を望み門戸を広げています。

講演を行うH-imagine代表 松本英揮さん

活動グループの例
どんぐり千年の森をつくる会 諸県地方を中心にどんぐりの森をつくろうと、たくさんの人が参加して植林をしています。
ハマボウを 守る会 延岡市の沖田川に生えているマングローブの1種であるハマボウを守ろうとする活動
延岡アースデー実行委員会 植林やごみ拾い、環境教育等、県北のたくさんの方が参加されて活動しています。
ひむか・おひさま共和国 太陽光やバイオマス等のクリーンエネルギーを普及し温暖化を防ごうというグループです。
H−imagine 温暖化防止やエコ意識の普及のための環境教育に力を入れているグループです。
アジア砒素 ネットワーク アジアの砒素で苦しむ人達のために調査、研究し支援しているグループです。

(2)こどもエコクラブ

 こどもエコクラブは、環境省が提唱している環境活動クラブで、学校、地域、クラスの友人等どのような形でも作ることができます。平成16年度は、38クラブ、789人の小中学生が活動しました。

活動グループの例(平成16年度)
自然楽校・未来船地球大好き コアジサシや海亀の観察等、自然の大切さを体感させる活動をしています。
志和池中学校 環境クラブ 中学校の環境クラブとして、水生生物調査、花の栽培等を行っています。
ゆりかご エコクラブ 児童館、保育園等一体となって環境のことを考え、ごみ拾い、植林等の活動をしています。
南っ子 エコクラブ 雑穀や蕎麦打ち、脱穀、エコキャンプ等の体験を通 じて環境共生を学ばせています。

【エコクラブサポーター養成講座】

 エコクラブの普及を目指して、毎年7月に県内で指導者養成のための講座を開催しています。(参考URL http://eco.pref.miyazaki.lg.jp)。

(3)学校における環境教育の推進

 「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」が平成16年から完全施行され、文科省においては、平成16年10月に「環境教育の推進に向けて」のリーフレットを作成、配布するなど、環境教育は学校においても重要な取組課題となっています。
 また、県の教育委員会では、これまでの「環境教育推進事業」をさらに充実させ、平成17年度からは、小中高の連携や、地域や関係機関との連携を図った環境教育を進めていく計画をしています。

(4)エコ幼保園、環境にやさしい学校の取組

平成16年度エコ幼稚園に取り組んだ日南吾田幼稚園 資源保護のためリターナブル瓶の使用を呼びかけ、また回収瓶の益金で念願のブロンズ像を設置しました。

 環境を大切にする行動を幼児期から教えていくために県内の幼稚 園・保育園の中で モデル園を指定し、 様々な環境教育が 行われています。 (参考URL https://eco.pref.miyazaki.lg.jp/e_katudo/hoikuen/index.html)。  また、高校生への環境教育のために学校版ISO構築のための「環境にやさしい学校づくり事業」が行われています(参考URL https://eco.pref.miyazaki.lg.jp/e_ katudo/koukou/index.html )。

(5)環境保全アドバイザー

 県では、地球環境や自然環境、身近な動植物のことなどを学校や地域で教えるためにアドバイザーを登録しています。観察会や講習会等様々な場でこの制度を使うことができます(参考URL http://eco.pref.miyazaki.jp/e_ tatu/adviser/index.html)。

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2 企業における環境保全の取組

 学校も含めて、事業所の様々な事業活動は何らかのかたちで、地球環境に影響を与えています。紙を消費することは、木材資源の枯渇につながり、自動車に乗ることは、石油などの資源の枯渇と窒素酸化物等による大気汚染、二酸化炭素の排出に関係します。火力発電所での重油の燃焼も同様です。
 これらの環境負荷をできるだけ少なくするため構築していくシステムを環境マネジメントシステム(約束ごと)といいます。
 この環境マネジメントシステムには、「ISO14001の環境マネジメントシステム」と「エコアクション21」があります。この他、環境会計や環境報告書などもあげられます。ISO14001には県内で80事業所近くが、エコアクション21は1社が取り組んでいます。

(1)ISO14001

 ISO14001とは、1992年のブラジルで開催された「地球サミット」で採択された行動計画「アジェンダ21」を的確にフォローするため、1996年9月に国際標準化機構(ISO)が 定めた「環境マネジメントシステム規格」です(カメラ のフィルム感度を表す isoも同じ機構の規格です)。
 このシステムの概要は右図に示していますが、組織が環境方針及び環境負荷を削減する目的・目標を定め、その実現 のための計画(Plan) を立て、それを具体 的に実施(Do)しま す。その結果 を点検 (Check)し、さらに 次のステップを目指 して見直し(Action) を行うことをPDCA のサイクルといいま す。
 事業所はこのよう な環境マネジメントシステムを導入し、第三者(認証登録機関)による審査を受け、このシステムを維持しなければなりません。

(2)エコアクション21

 エコアクション21とは、いろんな事業所が地球環境にやさしい事業活動をするために、環境省が提唱した制度で、ISO14001のミニ版ともいえます。2004年に第三者(審査人)によるシステムの評価制度が導入されました。
 なお、ISO14001及びエコアクション21とも、廃棄物を出さないゼロエミッションが活動のポイントになります。

(3)エスコ事業

 「エスコ事業」とは、エネルギーサービスカンパニー(ESCO)といい、エスコ事業者が、対象となる企業、工場などの電気配電、機器の省力化、運転管理など総合的な省エネルギー化を請け負い、節約できた光熱費を顧客と事業者で分け合う事業です。
 企業や工場等は、コスト削減で様々な省エネの取組を行っていますが、外部のプロの目で更に省エネに取組というものです。今後、省エネの取組に一層の努力が求められますので、当事業の展開が、今後本県でも行われるものと見込まれます。

3 国や県の地球温暖化防止のための取組

(1)温暖化防止のための国際的取組

 1992年に開かれたリオデジャネイロの環境サミットで、先進国が1990年レベルまでに温室効果 ガス排出量を戻さなければ深刻な地球環境の危機をもたらすとの基本的な合意がなされ、気候変動枠組条約を締結しました。そして1997年京都会議(COP3)で具体的な削減割合を定めた京都議定書を採択しました。
 これは、先進国に法的拘束力のある数値目標を各国ごとに設定したもので2008〜2012年におい1990年比で日本は6%、EUは8%の削減を定めています。

マータイさんは、この講演で日本語の「もったいない」を世界に広めようと話しました。

 2005年2月16日に京都議定書は発効しましたが、米国は経済に与える影響が大きいこと等を理由に参加拒否をしています。また2005年7月に開催されるグレンイーグルスサミットにおいても、気候変動問題が最も最重要議題となり、今後とも温室効果 ガス削減の国際間の交渉が継続していきます。

(2)温暖化防止のための国の取組

 国では、地球温暖化対策推進法を定めるとともに、産業部門、運輸部門、家庭部門等のそれぞれの部門ごとに、自主的取組、規制的手法、経済的手法等の様々なアプローチによる施策推進を検討及び実行しています。 また、2005年4月に京都議定書の6%削減約束を確実に達成するために必要な措置を定める「京都議定書目標達成計画」を定める予定です。環境税はこの計画の中でも重要な検討課題であると考えられます。

(3)環境立県に向けて

 県では、新しい県の総合長期計画で現在の環境を大切にして、未来にこの美しい環境を残していくために、環境に立脚した施策づくりを進めていく環境立県を打ち出しました。県民も地球船の一乗組員である以上、温暖化防止対策に県民上げて取り組んでいく必要があります。
 また、県では、「環境みやざきサポーター1万人構想」を掲げ、地球温暖化防止活動や4Rの推進、自然環境を守る運動を進めていきます。県民が一人でも多くこのサポーターとなり、地域から進める地球温暖化防止対策の環を広げていく必要があります。

(4)温暖化防止を進める県の取組

 地球温暖化防止や4Rの取組を県内に広めていくために県民、団体、事業所、自治体等が連携した組織が「環境みやざき推進協議会」(平成17年3月現在仮称)で、平成17年度から発足が予定されています。
 また、NPO等の団体や県民が共働して地球温暖化防止の普及啓発を進めていく拠点として、宮崎県地球温暖化防止活動推進センター(http:// www.mc3a.org/)が設置されています。
 この他にも県は、「地球温暖化防止活動推進員」を委嘱し、地域における地球温暖化防止の普及啓発を進めたり、温暖化防止のための普及啓発誌の作成、配布、HP「みやざきの環境」(http://eco. pref.miyazaki.lg.jp/)の受発信等様々な方法により普及啓発を進めています。o.pref.miyazaki.lg.jp/gakusyu/ecook/index.html


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